由布岳登山紀行

日時:平成27年1月2日

 

参加者:A氏(67)、F氏(63)、横山(61)、O氏(43)

 

ルートタイム:林道入り口(8:10) 谷取り付き(9:10) 1番目の滝 2番目の滝(14:00) お鉢ルート(16:00) 林道(18:00) 林道入り口(18:31)

由布岳(大崩谷)
由布岳(大崩谷)

昨年の12月からA氏と連絡を取り合い、寒気が来て雪が降りその後に凍り付く日を待ち望んだ。暮れ近くになると天気予報を釘付けで見ていた。その結果1月2日を当初より予定していた鶴見岳の北谷登はんをする事とした。

 

1月1日午前11時にF氏と横山は熊本を出発した。今夜のA氏との待ち合わせの鶴見岳ロープウェイ乗り口駐車場迄には、十分過ぎる時間が有ったので、阿蘇神社の初詣をした。そこでおうぎ型のおみくじを買ったら二人とも大吉だった。また、甘酒が有り、賽銭でいただけた(大変おいしかった)。そのまま横断道路を上り途中左側に有る城山展望所にF氏が気に入っている一枚の絵画が有るとのことで立ち寄った。F氏はお店のおばちゃんと顔見知りで気さくに話し、目的の絵画を見ることができた。昨日の雪で牧ノ戸峠越えは不安が有るので、道路はミルク道路から小国経由を取った。途中路面に雪があったがミニパジェロに4本のスタッドレスタイヤは何も不安は無かった。途中もゆったりと行動して湯布院に5時頃に着いた。せっかくなので湯布院では金鱗湖の北側湖畔の下ん湯に入り風景を見ながら温泉を満喫した。6時を過ぎると辺りは薄暗くなってきた。やまなみハイウェイを鶴見岳へ向かって出発したが、しばらく進むと車が渋滞して立ち往生していた。300m程先には交通整理員の非常灯が見え、先の車がUターンしてきた。俺たちもそこに近づくと整理員の人が「特に、ロープウェイ前後の道路が凍結して、立ち入りを制限している。」と言われ我々もUターンすることと成った。A氏へ電話した結果、国道210へ出て、西回り経由で大分へ出るように言われ、途中A氏と待ち合わせて、今夜は奥さんが留守であるA氏宅にお世話になることと成った。

大崩谷出会い
大崩谷出会い
自動車道が見える
自動車道が見える
左側壁基部の5mの壁を登る予定
左側壁基部の5mの壁を登る予定

2日の日も、昨日の路面凍結に通行解除が解けて無く、A氏の判断で、急きょ由布岳の大崩谷登はんに切り替えた。午前6時半にA支度を出発して、国道10号線からやまなみハイウェイに入り、右折して国道500号から自動車道を潜り横断して林道入り口に着いた。登る準備をして8:10に林道入り口ゲートを出発、ゆるい登り坂の林道の雪を踏みしめながら歩き9:10に大崩谷取り付きに着いた。北側の眼下には自動車道路が見え、谷の右側の崩落した側壁はモルタル吹き付け工事が終わっており、A氏の説明では工事はI氏の会社で施工したとのことで親近感を覚えた。谷の入り口からは大きな砂防堰堤が有る。左側の作業道路を登り最上堰堤の終点で谷へ入った。谷の中央部を登り左上に1番目の滝が見えてくると左へトラバースをした。強風で雪が舞い毛糸のハンガリー手袋の手は凍りついて10分程感覚を失った。ここでアイゼンを付け滝の下部へ登った。右側の側壁は切り立っており、A氏は以前に9ピッチで登った壁だったと話してくれた。壁を目で追いながら登ったA氏に敬服した。1番目の滝の高さは5mで傾斜70度程、この付近の岩は焦げ茶色だが、滝は周りとは違い薄青で表面が砕かれた硬い岩だ。アイスバイルを打ち込め無い。10:30A氏がトップでトライした。慎重にハーケンを2本打つが適切なクラックが無く半分程度しか入らない。また、硬い岩はバイルもアイゼンも有効に使えず断念して、やもなく右側を巻き上部へ上がった。

5mの壁を登る予定が右側を巻いた
5mの壁を登る予定が右側を巻いた
右側は15mの壁(滝)
右側は15mの壁(滝)

しばらく登ると谷の真ん中に15m程の滝(幅20mの壁)が見えてきた。岩質と状態は下の滝と同じに思えた。本谷の滝の直上は考えず左の小ルンゼを登ることにした。ここもA氏がトップで登り出した。ブリザードの中、時折上から粉雪が舞い降りて来るが直ぐに烈風で雪が舞い上がった。A氏は慎重にバイルを打ち効かせ、ハーケンを打ち、また残置ハーケンを利用して見事に登った。

谷に最上部付近
谷に最上部付近
左側の小ルンゼをA氏がトップ奮闘中
左側の小ルンゼをA氏がトップ奮闘中
左側の小ルンゼをO氏がセカンド登はん、F氏が見守る
左側の小ルンゼをO氏がセカンド登はん、F氏が見守る
左側の小ルンゼを登り上げさらに上部に進むF氏
左側の小ルンゼを登り上げさらに上部に進むF氏
左側の小ルンゼを登り上げさらに上部に進むF氏
左側の小ルンゼを登り上げさらに上部に進むF氏
最後の危険箇所を登るA氏
最後の危険箇所を登るA氏
最後の危険箇所で確保するO氏
最後の危険箇所で確保するO氏

セカンドにO氏が続き順調に登った。F氏が2度ほど体が岩から剥がれながら辛うじて登り、力が入った登はんで頑張った。ラストは横山で左の堅い壁はバイルを打つ場所と隙間がなく、ルンゼに流れ出て溜まて凍付いた泥にバイルを打ち効かせた。途中左壁のバイルがはずれ、左側の体は剥がれそうになりながら、アイゼンと岩を捕らえた右バイルで持ちこたえた。また、時にはハーケンにバイルを絡ませたり、右壁の岩を捕らえての登はんを行った。14:00に4名が登り切った。谷に降り積もった雪(深いところで1mほど)のラッセルだが、少なく済ませるための箇所を選びながら登り進んだ。途中では1回の休憩を取り、だらだらと登りが1時間半ほどかかった。若いO氏は疲れも見せずグングン登って行った。上部が見えて来たが、周囲は20mから50mほどの崩れた泥壁で登り上がるのは厳しいので、ルートを左側の小尾根に取った。少し急に思えたがそれぞれダブルアックスで登り2人程立てるコルに上がった。A氏が「俺が行くまで待つ様に」と指示が有ったが、O氏はそのままダブルアックスで登り切ってしまった。左下は急な谷で落ちたらそのまま滑落しそうなので、A氏とO氏がザイルをフィックスした。後続の3名はユマール、ブルージック、確保で登り上がった。尾根に上がるとミヤマキリシマの群生地で足の踏み場がなく、深い雪とミヤマキリシマとの合間を辛うじて這い上がり16:00にお鉢ルートに出た。一安心だが下降には時間かかるとのことで、A氏の判断でお鉢ルートを100m程下り直ぐに左側の谷を下った。下降ルートが有るとのことで、樹木に巻かれた赤テープを目印にして下降した。始めは谷の中央付近を下るがしばらくして左側に向きを変え、また、谷の中ほどを下り、途中で大きく右へトラバースする。そしてその後はジグザグに下降して登って来た林道の途中に出た。すっかり薄暗くなり、疲れた体を引きずりアイゼンを付けたままダラダラと林道を下り18:30に林道入り口に着いた。この時も手は凍り付き装備を外すにも時間がかかった。そしてそれぞれ帰りを急いだ。

 

今回は久しぶりのバリエーションルートの登はんで有った。A氏には核心部ではトップを登っていただき、また馬力の有るO氏にもお世話になり大変充実した山行であった。